ワルファリン作用機序

Natureに連報で掲載された
Mutations in VKORC1 cause warfarin resistance and multiple coagulation factor deficiency type 2 (Rost, S. et al)

Identification of the gene for vitamine K epoxide reductase (Li, T. et al)

News&Views(K is for koagulation)でも紹介されているが、ネタ満載なのでちょっと紹介。

まずVitamin Kの発見の話。
1943年のノーベル賞医学生理学賞)にVitamin Kを同定したHenrik DamとEdward Doisyが受賞している。なぜVitamin "K"なのか、それは血液凝固作用を持つVitaminであり、koagulationに関与するVitaminだからである。もちろん辞書を引いても"koagulation"という単語はない。それはすなわちHenrik Damの母国、デンマークスカンジナビア半島)のスペリングだからである。英語ではcoagulationということである。

次に、ワルファリン発見の経緯から(詳しくはエーザイのHPに)。1920年代に牛が出血死する奇妙な病気が流行しはじめ、原因は腐ったスイートクローバーにあるとされたのが1922年。当時の牛の飼料が生育もよく、収量も豊富で牧草として最適のスイートクローバーに推移してきたこともあって大流行した模様。1930年代にウイスコンシン大のKarl Linkが原因物質であるdicoumarolを発見、誘導体としてVitamin K拮抗剤のwarfarinを合成することに成功した。warfarinという単語はこの物質の特許を持つ
Wisconsin Alumni Research FoundationのWARFとクマリン系薬物の語尾につけるARINをつなげて、「WARF+ARIN=WARFARIN」となったわけです。

論文の詳しい内容は後日UPします